プラント工作員 | そのIDで工場の第一エリアまでは入れる。だがその先は完全な個人情報管理システムでね、急にはどうしようもない。 が、無茶はしてくれるなよ。騒ぎはごめんだ。獅子は眠らせておきたいってね。 |
カガリ(回想) | 私は…私は…カガリ・ユラ・アスハだ! |
OP(Believe) |
オーブ整備アナウンスA | 第6作業班は、13番デッキより作業を開始して下さい。 |
オーブ整備アナウンスB | 機関区、及び外装修理班は、第7ブースで待機。 |
ノイマン | 驚きました。もう作業に掛かってくれるとは。 |
ナタル | ああ。それは本当にありがたいと思うが。 |
マリュー | おはよう。 |
パル | おはようございます。 |
ナタル&ノイマン | おはようございます。 |
マリュー | 御苦労様です。 |
ナタル | 既にモルゲンレーテからの技師達が到着し、修理作業に掛かっております。 |
マリュー | ええ。ヤマト少尉は? |
ナタル | 先刻、迎えと共にストライクで工場の方へ。 |
マリュー | そう。ありがと。 |
ナタル | …。 |
マリュー | ん?なに? |
ナタル | いえ、ではこの際に、内部システムの点検修理を、徹底して行いたいと思っておりますので。 |
マリュー | …お願いね。 |
シモンズ | 以上の経緯で、モビルスーツが、その概念を発案した者達の、予想を超えたポテンシャルを有していたことは明白である。レドニル・キサカ一佐の報告に依れば……記録ポーズ。通話チャンネルオンライン。
はい。はぁい、ええそうよ。お母さんはまだ仕事。帰るのはリュウタが寝てからになっちゃうわ。晩ご飯はお父さんと食べてちょうだいね。ふふ、分かってます。今度のお休みは大丈夫だから。お母さん約束破らないでしょ?滅多に。うふふ、はいはい。それじゃぁ、お父さんの言うこと聞いて、ちゃんとお風呂入って歯磨いて寝るのよ?はい、じゃあね。通話チャンネルオフライン。エリカ・シモンズ、私的ファイル、インデックス2125、デルタズールーン記録再開。
レドニル・キサカ一佐の報告に依れば、地球連合のモビルスーツの威力は圧倒的の一語に尽きる。しかしながら、そのポテンシャルを余すところなく引き出すためには、パイロットの能力に依存するところが大である。コマンド、添付ファイル0358の722。GAT-X105ストライクを操縦するキラ・ヤマトの一連の戦闘記録は本件の論拠となっている。 |
マリュー(回想) | うう…くっ! |
キラ(回想) | 無茶苦茶だ!こんなOSでこれだけの機体を動かそうなんて… |
マリュー(回想) | まだ全て終わってないのよ…仕方ないでしょ! |
シモンズ | オペレーションシステムの見直しが必要であることは、早くから指摘されていた。基本的にコーディネイターの能力がナチュラルの其れを上回るのは避けがたい事実であり、インターフェイスの性能が同じならば、彼らの方が機体のポテンシャルをより有効に引き出すことが出来るのは明々白々なことである。 |
キラ(回想) | キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定…、 チッ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結! ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築!メタ運動野パラメータ更新!フィードフォワード制御再起動、伝達関数!コリオリ偏差修正!運動ルーチン接続!システム、オンライン!ブートストラップ起動! |
キラ&マリュー(回想) | うっ! |
キラ(回想) | 武器…! 後はアーマーシュナイダー…?これだけかっ! やめろっー!! |
シモンズ | ナチュラルがコーディネイターと同等の威力をモビルスーツに発揮させようとすれば、それだけ優れたソフトウェアが必要となる。しかし、緊急事態とはいえ、その作業をコーディネイターの手に委ねなければならなかったことは、皮肉と言うしかないだろう。 |
カガリ(回想) | お父様の裏切り者ーー! |
イザーク(回想) | ほお、すごいもんじゃないか。どうだ?ディアッカ。 |
ディアッカ(回想) | OK。アップデータ起動、ナーブリンク再構築、キャリブレート完了。動ける! |
イザーク(回想) | ニコル。 |
ニコル(回想) | 待って下さい。もう少し… |
ディアッカ(回想) | アスランとラスティは?遅いな。 |
イザーク(回想) | ふん。奴ならな大丈夫さ。ともかくこの3機、先に持ち帰る。 クルーゼ隊長にお渡しするまで壊すなよ。 |
ミゲル(回想) | ならあの機体は俺が捕獲する。お前はそいつを持って先に離脱しろ。 |
アスラン(回想) | (…キラ、いや違う。あいつがあんなところに居るはずは…) |
シモンズ | 結局、地球軍は、コーディネイターと戦う為の兵器を開発するのに、その敵であるはずのコーディネイターの力を借りなければならなかったわけだ。それは、ここオーブでも同じである。コマンド、ハイパーリンク、ファイル52、我が国における潜在コーディネイターの軍需産業への貢献を参照のこと。
初めて戦場にモビルスーツを送り出したプラントの技術者達は、宇宙での戦いを制する兵器こそが戦局を支配すると信じていた。それは、戦闘機よりも優れた機動性を発揮し、戦艦に匹敵する火力を有し、戦車よりも強靱な装甲で生き延びることの出来る兵器でなければならない。その主張は、大筋において正しかった。ただ一点だけ、彼らが見誤っていたことがあった。それは、モビルスーツが有効なのは、宇宙に限らないと言うことだ。 |
アイキャッチ |
シモンズ | コマンド、添付ファイル0629。ザフトはストライクを積んでヘリオポリスを脱出した、地球軍の宇宙戦艦アークエンジュエルを執拗に追撃した。その結果アークエンジェルは地球への降下に失敗し、ザフト勢力圏内への着陸を余儀なくされる。蛇足になるが、アークエンジェルの指揮系統には人的問題があるようだ。 |
ナタル(回想) | 艦長!ローエングリンの使用許可を! |
マリュー(回想) | 駄目よ!あれは地表への汚染被害が大きすぎるわ!バリアントの出力と、チャージサイクルで対応して! |
ナタル(回想) | しかし… |
マリュー(回想) | 命令です! |
ナタル(回想) | …了解しました。 |
シモンズ | ザフトの追撃を逃れることには成功しているが、その理由の多くは、偶然と、キラ・ヤマトとストライクの奮戦に依るもと思われる。いづれ、アークエンジェルの幹部将校については、その資質と適正が問われることとなるだろう。 |
マリュー(回想) | 撃墜されたとは限らないのよ?日没までの時間は? |
ミリアリア(回想) | ぇ…約1時間です。 |
ナタル(回想) | 捜索されるおつもりですか!?ここはザフトの勢力圏で… |
マリュー(回想) | 上空からはもう辛いわね。簡単な整備と補給が済んだら、ストライクに海中から探してもらうしかないわ。 |
ナタル(回想) | 艦長! |
マリュー(回想) | 報告にでも記録にでも、好きに書きなさい! |
ナタル(回想) | う… |
マリュー(回想) | 放っておけないわ。あの子…。 |
シモンズ | アンドリュー・バルトフェルド。砂漠の虎と称されるザフト切っての名将である。砂漠に虎が居るうのかどうかはさて置き、バルトフェルドが指揮する部隊は、陸戦用モビルスーツ、バクゥを以て、アークエンジェルを攻撃した。 |
バルトフェルド(回想) | ん〜コーヒーが旨いと気分がいい。さ、戦争をしに行くぞ! |
シモンズ | 本来試験運用段階だったストライクにとって、砂漠地帯での戦闘は苦戦を強いられるものだった。 |
キラ(回想) | あぁ! うわっ! く…あ! うぅうわぁ! 接地圧が逃げるんなら、合わせりゃいいんだろ!逃げる圧力を想定し、摩擦係数は砂の粒状性をマイナス20に設定! |
シモンズ | しかしこの危機をキラ・ヤマトは、戦闘中に制御プログラムを修正するという離れ業で乗り越え、遂には、バルトフェルド自信が乗る新型モビルスーツ、ラゴゥまでもを、倒すことに成功する。 |
キラ(回想) | バクゥとは違う…隊長機?あの人か!あっ! |
アイシャ(回想) | なるほど、いい腕ね。 |
バルトフェルド(回想) | だろ?今日は冷静に戦っているようだが、この間はもっと凄かった。 |
アイシャ(回想) | なんで嬉しそうなの? |
バルトフェルド(回想) | … |
アイシャ(回想) | 辛いわね、アンディ。ああいう子、好きでしょうに。 |
バルトフェルド(回想) | 投降すると思うか? |
アイシャ(回想) | いいえ。 |
キラ(回想) | うわぁ!うわぁぁぁ! |
バルトフェルド&キラ(回想) | うぅ… |
アイシャ(回想) | ああっ! |
シモンズ | アークエンジェルは、紅海に進出した。しかし、ザフトは海上にも網を張り、待ち受けていた。 |
サイ(回想) | ライブラリー照合… |
ミリアリア(回想) | あ… |
サイ(回想) | ザフト軍、大気圏内用モビルスーツ、ディンと思われます! |
マリュー(回想) | ん… |
シモンズ | 航空用モビルスーツ、ディン。水中用モビルスーツ、ゾノ、及びグーン。対するアークエンジェルは、ストライクに加えて、支援戦闘攻撃機、スカイグラスパーを投入し応戦する。 |
キラ(回想) | ええい! |
カガリ(回想) | あ!くそー! |
フラガ(回想) | くぉぉりゃぁぁ! |
シモンズ | スカイグラスパーの支援により、地球上でのストライク運用は、飛躍的に柔軟且つ、機動的なものとなった。コマンド注釈ファイル1350。宇宙空間での運用における疑問点を参照のこと。 |
キラ(回想) | これは… ぐぅぅ…なんてパワーなんだ! |
シモンズ | ともあれ、キラ・ヤマトとストライクの組み合わせは、ここでも驚くべき順応性を発揮することになる。キラ・ヤマトの能力は、明らかに、他の一般的コーディネイターパイロットの其れを凌いでいる。 |
キラ(回想) | ぅ…ぅぅ… |
バルトフェルド(回想) | あの少年のような真似、誰にでも出来るというものではないだろうしなぁ。 |
シモンズ | 推測の域を出ず、専門外のことでもあるが、以前一度だけ学会誌に発表されて論議を呼んだ、スペリオール、エヴォリューショナリー、エレメントディスティンドファクターを想起されたい。可能であれば、キラ・ヤマトに対しては、継続した精密且つ徹底的な調査分析を……最終項目を削除。記録終了。エリカ・シモンズ、14140725のパーソナルパスワードを設定しファイルを保存。セッション終了。 どうぞ! |
連絡員 | シモンズ主任。キラ・ヤマト少尉をご案内致しました。 |
シモンズ | ありがと。すぐ行くわ。 |
キラ | ここって… |
シモンズ | ここならストライクの完璧な修理が出来るわよ。いわば、お母さんの実家みたいなもんだから。 こっち!貴方に見て貰いたいのは。 |
キラ | あっ!これ… |
シモンズ | そう驚くこともないでしょ?貴方もヘリオポリスでストライクを見たんだから。 |
カガリ | これが中立国オーブという国の本当の姿だ。 |
キラ | カガリ! |
シモンズ | これはM1アストレイ。モルゲンレーテ社製のオーブ軍の機体よ。 |
キラ | これを、オーブはどうするつもりなんですか? |
シモンズ | どうって? |
カガリ | これはオーブの守りだ。お前も知っているだろ?オーブは他国を侵略しない。他国の侵略を許さない。そして、他国の争いに介入しない。その意志を貫く為の力さ。 |
キラ | ぁぁ… |
カガリ | オーブはそういう国だ。いや、そういう国のはずだった。父上が裏切るまではな。 |
キラ | え? |
シモンズ | あ〜ら、ま〜だ仰ってるんですか?そうではないと何度も申し上げたでしょ?ヘリオポリスが地球軍のモビルスーツ開発に手を貸してたなんてこと、ウズミ様は御存知… |
カガリ | 黙れ!そんな言い訳通ると思うのか!国の最高責任者が、知らなかったと言ったところでそれも罪だ! |
シモンズ | だから、責任はお取りになったじゃありませんか。 |
カガリ | 職を叔父上に譲ったところで、常にああだこうだと口を出して、結局何も変わってないじゃないか。 |
シモンズ | 仕方ありません。ウズミ様は、今のオーブには必要な方なんですから。 |
カガリ | あんな卑怯者のどこが! |
シモンズ | あれほど可愛がってらしたお嬢様がこれでは、ウズミ様も報われませんわね。 |
カガリ | ん…… |
シモンズ | おまけに昨日のあの騒ぎでは、確かにほっぺの一つも叩かれますわ。 |
キラ | え? |
カガリ | ふん! |
シモンズ | さ、こんなおバカさんは放っといて、来て! |
オペレータ | 起動電圧正常。システム……… |
シモンズ | アサギ、ジュリ、マユラ! |
アサギ&ジュリ&マユラ | はーい! |
キラ | あっ! |
マユラ | あ!カガリ様? |
ジュリ | あら、ほんと。 |
アサギ | なーに、帰ってきたの? |
カガリ | 悪かったなぁ。 |
シモンズ | 始めて! |
アサギ&ジュリ&マユラ | はい! |
カガリ | 相変わらずだな。 |
シモンズ | でも、倍近く速くなったんです。 |
カガリ | けどこれじゃぁ、あっという間にやられるぞ。何の役にも立ちゃしない、ただの的じゃないか。 |
アサギ | あ!ひっどーい! |
カガリ | ほんとのことだろうがー。 |
マユラ | 人の苦労も知らないで。 |
カガリ | 敵だって知っちゃくれないさ、そんなもん! |
ジュリ | 乗れもしないくせに! |
カガリ | 言ったな!じゃぁ替わってみろよ! |
シモンズ | はいはいはい、止め止め止め! でも、カガリ様の言うことは事実よ。だから、私達はあれをもっと強くしたいの。貴方のストライクの様にね。 |
キラ | え!? |
シモンズ | 技術協力をお願いしたいのは、あれのサポートシステムのOS開発よ。 |
キラ | ぁぁー… |
ED(RIVER) |
-+-次回予告-+- 故郷、そして、父と母。誰に憚ることなく帰って行ける始まりの場所。 迎えてくれる優しき手に憩うのは、再び向かわねばならぬ明日を知るからか。 蘇る思い出は胸を刺し、空にはただ、悲しき羽音が舞う。 次回、機動戦士ガンダムSEED、「キラ」 繋がる時へ、立ち向かえ!ガンダム! |