ロード・ジブリール | ええいッ! |
ロゴスA | 冗談ではないよジブリール。一体なんだねこの醜態は。 |
ジブリール | ふんッ! |
黒猫 | にゃ〜?にゃッ! |
ロゴスB | しかしまあ…ものの見事にやられたもんじゃの。 |
ジブリール | …ぬぅ… |
ロゴスC | ザフトのあの兵器はいったい何だったのだ。 |
ロゴスA | 意気揚々と宣戦布告して出かけていって、鼻っ面に一発喰らってすごすごと退却か。君の書いたシナリオはコメディなのかね? |
ジブリール | くッ! |
ロゴスB | これでは大西洋連邦の小僧も大弱りじゃろうて。 |
ロゴスA | 地球上のザフト軍の拠点攻撃へ向かった隊は未だに待機命令のままなのだろ。 |
ロゴスD | 勢いよく振り上げた拳、このまま下ろして逃げたりしたら世界中の物笑いだわ。 |
ロゴスB | さて、どうしたものかの。我等は誰にどういう手を打つべきかな。ジブリール、君にかね? |
ジブリール | くッ…巫山戯たことを仰いますな! |
ロゴス一同 | ふん。 |
ジブリール | この戦争、ますます勝たねばならなくなったというのに。我等の核を一瞬にして消滅させたあの兵器。あんなものを持つ化け物が宇宙(そら)にいて、一体どうして安心していられるというのです!戦いは続けますよ。以前のプランに戻し、いやそれよりもっと強化してね。今度こそ奴等を叩きのめしその力を完全に奪い去るまで! |
ギルバート・デュランダル | では、プラント最高評議会は議員全員の賛同により、国防委員会より提出の案件を了承する。 |
プラント最高評議会一同 | [ガヤガヤ] |
デュランダル | しかし、これはあくまで積極的自衛権の行使だということを決して忘れないでいただきたい。感情を暴走させ過度に戦果を拡大させてしまったら先の大戦の繰り返しです。今再び手に取るその銃が、今度こそ全ての戦いを終わらせる為のものとならんことを切に願います。 |
OP(ignited-イグナイテッド-) |
カガリ・ユラ・アスハ | 駄目だ駄目だ駄目だ!冗談ではないッ!なんと言われようが今こんな同盟を締結することなど出来るかッ!! |
ウナト・エマ・セイラン | しかし代表… |
カガリ | 大西洋連邦が何をしたかお前達だってその目で見ただろ!一方的な宣戦布告、そして核攻撃だぞ! |
ユウナ・ロマ・セイラン | くッ… |
カガリ | そんな国との安全保障など!そもそも今、世界の安全を脅かしているのは当の大西洋連邦ではないか!なのに何故それと手を取りあわねばならない!! |
首長一同 | しかし…ですが代表! |
ユウナ | そのような子供じみた主張はお止め頂きたい。 |
カガリ | うッ! |
ユウナ | 何故、と言われるのならお答えしましょ。そんな国だからですよ、代表。 |
ウナト | ふ。 |
カガリ | ユウナ… |
ユウナ | 大西洋連邦のやり方は確かに強引でしょう。そのようなことは、失礼ながら今更代表に仰っていただかなくとも我等も充分承知しております。 |
カガリ | ぅ… |
ユウナ | しかし?だから?ではオーブは今後はどうしていくと代表は仰るのですか? |
カガリ | ぅ… |
ユウナ | この同盟をはね除け、地球の国々とは手を取りあわず、つまり遠く離れたプラントを友と呼び、この星の上でまた一国孤立しようとでも言うのですか? |
カガリ | 違う! |
ユウナ | 自国さえ平和で安全ながらそれで良いと?被災して苦しむ他の国々に、手すら差し伸べないと仰るのですか? |
カガリ | 違う! |
首長一同 | [ガヤガヤ] |
ユウナ | ではどうすると仰るのです。 |
カガリ | ぅ…オーブは…オーブはずっとそうであったように中立独自の道を… |
タツキ・マシマ | そしてまた国を灼くですか?ウズミ様のように。 |
カガリ | ぅ! そんなことは言っていないッ!! |
ウナト | しかし下手をすればこの状況、再びそんなことにもなりかねませんぞ。 |
カガリ | く… |
ウナト | 代表、平和と国の安全を望む気持ちは我等とて皆同じです。だからこそこの同盟の締結をと申し上げている。 |
カガリ | ウナト… |
ウナト | 大西洋連邦は何も今オーブをどうこうしようとは言ってはおりません。しかしこのまま進めばどうなります。 |
カガリ | … |
ウナト | 同盟で済めばまだその方が良いと、何故お考えになれませぬ。 |
カガリ | ぅ… |
ウナト | 意地を張り無闇と敵を作り、あの大国を敵に回す方がどれだけ危険か、お解りにならぬはずはないでしょう。 |
カガリ | だが…! |
ウナト | 我々が二度としてはならぬ事、それはこの国を再び灼くことです。 |
カガリ | ぁ… |
ウナト | 伝統や正義、正論よりもどうか今の国と国民の安全の事をお考え下さい。代表。 |
首長一同 | [ガヤガヤ] |
ユウナ | カガリ!ふふ、大丈夫か?だいぶ疲れてるみたいだ。 |
カガリ | はぁ… |
ユウナ | さっきは悪かったね。でもあそこできちんと君に意見を言うのが僕の役目だ。 |
カガリ | ああ解ってる、そんなことは。私がまだまだ至らないだけだ。 |
ウナト | ふ。 |
カガリ | こんなことではまた首長達に笑われてしまうな。 |
ユウナ | 大丈夫だよ、皆も解っている。ただ今度のこの問題が大き過ぎるだけだ。君には。マシマも何もウズミ様を悪く言いたいわけじゃない。ただ、その娘である君がまた同じことをするのかと心配してるんだ。 |
カガリ | 解ってるよ。 |
ユウナ | さぁ、兎も角少し休んで。何か飲むかい?それとも軽く何か食べる? |
カガリ | いや大丈夫だ。ありがとう。 |
ユウナ | 可哀相に。君はまだほんの18の女の子だって言うのにねえ。 |
カガリ | あぁ… |
ユウナ | でも大丈夫だよ。僕が付いているから、ね。 |
カガリ | ぅ… ぁぁ… |
アーサー・トライン | …いやしかしですね艦長、もう開戦してるんですよ?宣戦布告されたんですから。 |
タリア・グラディス | 解ってるわよそんなこと。けどしょうがないでしょう?こっちは物資の積み込みもまだ終わってないんだし。 |
アーサー | いや…ですからもうそんなことを言っていられる場合では… |
タリア | 焦る気持ちは解るけどだからと言って今私達が慌てて飛び出して何がどうなるっていうの? かえってバランスが微妙な時期でもあるのよ、アーサー。あのとんでもない第一派の核攻撃を躱されて地球軍も呆然としてるんでしょ?カーペンタリアへの攻撃隊も包囲したまま動けないみたいじゃない。 |
アーサー | いや、だからこそですね… |
タリア | 今本艦が下手に動いたら変な刺激になりかねないわ。火種になりたいの?貴方。 |
アーサー | いえぇ!そんな… |
タリア | 情勢が不安定なら尚のこと艦の状態には万全を期すべきだわ。幸いオーブはまだ地球軍陣営じゃないんだし、もう少し事態の推移を見てからでも遅くはないでしょ?出港は。軍本部からは何も言ってきてはいないんだし。 |
アーサー | はぁ…まだですかねえ… |
タリア | でしょうね。いつまでかは知らないけれど。 |
シン・アスカ | … |
ザフト軍事ステーション管制官 | 第4戦闘軍の展開確認。 |
ザフト司令官 | しかし、なんとも篩った言い回しですな、積極的自衛権の行使とは。 |
リカルド(国防委員長) | そう言ってくれるな。政治上の言葉だ、仕方ない。 |
ザフト司令官 | 第一派で現在包囲されているジブラルタルとカーペンタリアから地球軍を追い払うというのはいいとしましても、その後は。 |
リカルド | さあてどうなるかな。無論我々とて先の大戦のような戦争を再びやりたいわけではない。国民感情を納得させられるだけの上手い落としどころ見つけ、戦闘を終結させて後は政治上の駆け引き、ということになるのだろうが、またも核を撃ってきたナチュラルに対する憎しみは最早消えんだろうな。 |
ザフト司令官 | でしょうな。 |
リカルド | 議長のお手並み拝見、とうことになるか、その後は。 |
アンドリュー・バルトフェルド | やっぱりそうだよなあ、プラントとしちゃあ。 |
トリィ | トリィ! トリィ! |
アイキャッチ(ラクス&キラ、晴れた空) |
イザーク・ジュール | くッ! |
アスラン・ザラ | イザーク! |
イザーク | 貴様ぁ! |
アスラン | あ…うわ… |
イザーク | 一体これはどういう事だ! |
アスラン | ちょっ、ちょっと待ておい… |
イザーク | く… |
アスラン | 何だっていうんだいきなり! |
イザーク | それはこっちのセリフだアスラン!俺達は今無茶苦茶忙しいってのに、評議会に呼び出されて何かと思って来てみれば貴様の護衛監視だとぉ!? |
アスラン | ええ? |
イザーク | 何でこの俺がそんな仕事の為に、前線から呼び戻されなきゃならん! |
アスラン | 護衛監視? |
ディアッカ・エルスマン | 外出を希望してんだろ?お前。 |
アスラン | ディアッカ! |
ディアッカ | おひさし。けどまあこんな時期だから、いくら友好国の人間でも勝手にプラント内をウロウロは出来ないんだろ。 |
アスラン | ぁ…ああ…それは聞いている。誰か同行者が付くとは。でもそれが、お前!? |
イザーク | そうだ!ふん! |
アスラン | … |
ディアッカ | はぁ〜。 |
ディアッカ | ま、事情を知ってる誰かが仕組んだってことだよな。 |
アスラン | …ぁ!…はぁ…。 |
ディアッカ | それで何処行きたいんだよ。 |
イザーク | これで買い物とか言ったら俺は許さんからな。 |
アスラン | そんなんじゃないよ。ただちょっと…ニコル達の墓に。 |
ディアッカ&イザーク | …! |
アスラン | あまり来られないからな、プラントには。だから行っておきたいと思っただけなんだ。 |
アスラン | 積極的自衛権の行使…やはりザフトも動くのか。 |
イザーク | 仕方なかろう。核まで撃たれてそれで何もしないというわけにはいかん。 |
アスラン | …。 |
ディアッカ | 第一派攻撃の時も迎撃に出たけどな、俺達は。奴等間違いなくあれでプラントを壊滅させる気だったと思うぜ。 |
イザーク | で、貴様は。 |
アスラン | え? |
イザーク | 何をやっているんだこんな所で。 |
アスラン | ぁ… |
イザーク | オーブは?どう動く!? |
アスラン | …まだ分からない。 |
イザーク | くッ… 戻ってこい、アスラン。 |
アスラン | …! |
イザーク | 事情はいろいろあるだろうが俺がなんとかしてやる。だからプラントへ戻ってこい。お前は。 |
アスラン | …いやしかし… |
イザーク | 俺だって、こいつだって、本当ならとっくに死んだはずの身だ。 |
アスラン | ぅ… |
イザーク | だが、デュランダル議長はこう言った。 |
デュランダル(回想) | 大人達の都合で始めた戦争に若者を送って死なせ、そこで誤ったのを罪と言って今また彼等を処分してしまったら、一体誰がプラントの明日を担うと言うのです。辛い経験をした彼等達にこそ私は平和な未来を築いてもらいたい。 |
イザーク | だから俺は今も軍服を着ている。それしか出来ることがないが、それでも何か出来るだろう。プラントや死んでいった仲間達の為に。 |
アスラン | イザーク…。 |
イザーク | だからお前も何かしろ。 |
アスラン | … |
イザーク | それほどの力、ただ無駄にする気か。 |
アスラン | … |
ザフト軍オペレータ | 全艦、軌道降下最終フェイズを発動する。 |
ウナト | んー… |
ユウナ | 最早待ったなしですねえ。 |
ウナト | 大丈夫か? |
ユウナ | カガリはああ見えてもそれほど馬鹿な娘ではありませんよ、父上。まだ子供なだけで。 大丈夫です。私がちゃんと説得しますよ。結婚のこともあるしね。いい加減、今の自分の立場ってものを自覚してもらわないと。 |
バルトフェルド | タイムリミットか。 |
バート・ハイム | 艦長。 |
タリア | どうしたの? |
バート | これを。 |
バルトフェルド | …ミネルバ聞こえるか。もう猶予はない。ザフトは間もなくジブラルタルとカーペンタリアへの降下揚陸作戦を開始するだろう。 |
バート | 秘匿回線なんですがさっきからずっと。 |
バルトフェルド | そうなればもうオーブもこのままではいまい。黒に挟まれた駒はひっくり返って黒になる。脱出しろ。そうなる前に。聞こえるかミネルバ。 |
タリア | ミネルバ艦長、タリア・グラディスよ。貴方は?どういうことなのこの通信は。 |
バルトフェルド | おーこれはこれは。声が聞けて嬉しいねえ。初めまして。どうもこうも言ったとおりだ。のんびりしてると面倒なことになるぞ。 |
タリア | 匿名の情報など正規軍が信じるはずないでしょ?貴方誰?その目的は? |
バルトフェルド | んー…アンドリュー・バルトフェルドって奴を知ってるか?これはそいつからの伝言だ。 |
マリュー・ラミアス | ぷ…うふふ… |
タリア | 砂漠の虎…。 |
アーサー | えぇ? |
バルトフェルド | 兎も角警告はした。降下作戦が始まれば大西洋連邦との同盟の締結は押し切られるだろう。アスハ代表も頑張ってはいるがな。留まることを選ぶならそれもいい。あとは君の判断だ、艦長。幸運を祈る。 |
カガリ | そんな… |
ユウナ | 積極的自衛権の行使、などとは言ってはいますが、戦争は生き物です。放たれた火が何処まで広がってしまうかなど誰にも分かりません。我等は大西洋連邦との同盟条約を締結します。 |
カガリ | え!? |
ユウナ | 再び国を灼くという悲劇を繰り返さぬ為にもね。 |
カガリ | ぁぁ… |
バート | 駄目です。地球軍側の警戒レベルが上がっているのか、通信妨害が激しくレーザーでもカーペンタリアにコンタクト出来ません。 |
タリア | いいわ。命令なきままだけど、ミネルバ明朝出港します。 |
アーサー | 艦長… |
タリア | 全艦に通達。出れば遠からず戦闘になるわ。気を引き締めるようにね。 |
アーサー | はっ! |
メイリン・ホーク | 発進は定刻通り。各艦員は最終チェックを急いで下さい。砲術B班は第三兵装バンクへ。コンディションイエロー発令。パイロットはブリーフィングルームへ集合して下さい。 |
シン | …けど、ザフトの降下作戦ていつ? |
ルナマリア・ホーク | 知らないわよ私も。しっかしこれでオーブも敵側とはね。けっこう好きだったのになこの国。…あごめん。シンには辛いね。 |
シン | 別に。 |
カガリ | ぁ…! |
シン | ぁ…何しに来た。 |
カガリ | ぅ… |
シン | あの時オーブを攻めた地球軍と今度は同盟か! |
カガリ | ぅ… |
シン | 何処までいい加減で身勝手なんだ!あんた達は! |
カガリ | いやこれは…! |
シン | 敵に回るって言うんなら今度は俺が滅ぼしてやる!こんな国! |
カガリ | うッ…シン! |
アーサー | FCSコンタクト。パワーバスオンライン。ゲート開放。 |
タリア | 前進微速。ミネルバ発進する! |
アーサー | 前進微速。ミネルバ発進! |
カガリ(回想) | 本当に済まないと思う。 |
タリア(回想) | いえ、残念ではありますが仕方がないことです。 |
カガリ(回想) | ぅぅ… |
タリア(回想) | こうして代表自ら御出下さった御誠意は忘れませんわ。 |
ユウナ | 仕方ないよカガリ。政治は理想じゃない。現実だ。君は良く頑張った。突然代表にと請われて国民も皆君のことが大好きだ。 |
カガリ | ユウナ… |
ユウナ | だからもう楽におなり。僕がいるよ。君を支える。夫として。 |
カガリ | ぇ!? |
ユウナ | 結婚式を急ごう!君の為にも。国民の為にも。それが一番いい。 |
カガリ | ぇ…あ…ユウナそれは… |
ユウナ | 新しく生まれ変わるんだよ。君も、オーブもね。 |
アスラン | はい、デュランダル議長にアポイントを。 |
ED(Reason) |
-+-次回予告-+- 裏切られた。そう思うのは信じていたからか。何を。 願う形に事態は動かず失意は怒りとなってその身を駆けめぐる。 それぞれが新たに選んだその道の先は。 次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY、「血に染まる海」 蒼き力、押し潰せ!ザムザザー! |