カガリ・ユラ・アスハ | 今日私は全世界のメディアを通じ、先日ロード・ジブリールの身柄引き渡し要求と共に我が国に侵攻したプラント最高評議会議長、ギルバート・デュランダル氏にメッセージを送りたいと思います。 |
ミーア・キャンベル | わたくしはラクス・クラインです。 |
アスラン・ザラ | ぁぁ! |
キラ・ヤマト&ラクス・クライン | ぁ! |
キサカ | カガリ! |
ミーア | ブルーコスモスの盟主、プラントに核を放つことも巨大破壊兵器で街を焼くことも、子供達をただ戦いの道具とするこもと厭わぬ人間を、何故オーブは戦ってまで守るのでしょうか。わたくし達はそれを… |
ラクス | その方の姿に惑わされないでください。 |
ミネルバクルー一同 | あ! |
タリア・グラディス | え? |
ラクス | わたくしはラクス・クラインです。 |
ギルバート・デュランダル | 馬鹿な…何故彼女がオーブに… |
ラクス | わたくしと同じ顔、同じ声、同じなの方がデュランダル議長と共にいらっしゃることは知っています。 |
ミーア | ぁ… |
シン・アスカ | ぁ… |
ラクス | ですが、わたくし、シーゲル・クラインの娘であり、先の大戦ではアークエンジェルと共に戦いましたわたくしは、今もあの時と同じ彼の艦(ふね)とオーブのアスハ代表の下におります。 |
アーサー・トライン | これは… |
タリア | … |
ミーア | ぁ… |
ラクス | 彼女とわたくしは違うものであり、その想いも違うということをまずは申し上げたいと思います。 |
ディアッカ・エルスマン | おい!何だよこれは! |
ミーア | わ、わたくしは…! |
ラクス | わたくしはデュランダル議長の言葉と行動を支持しておりません。 |
ミーア | ぇ…ぇぇ… |
アスラン | … |
シン | ぇぇ! |
レイ・ザ・バレル | … |
デュランダル | こちらの放送を止めろ! |
ザフト将校 | は!いやしかし… |
デュランダル | いいから止めるんだ!奴等の思惑に乗せられているぞ! |
ザフト将校 | は! |
デュランダル | ぇぇぃ! |
ラクス | 戦う者は悪くない、戦わない者も悪くない、悪いのは全て戦わせようとする者。死の商人ロゴス。議長のおっしゃるそれは本当でしょうか? |
ロード・ジブリール | ふ、はっはっは!これはまた… |
ラクス | それが真実なのでしょうか?ナチュラルでもない、コーディネイターでもない、悪いのは彼等、世界、貴方ではないのだと語られる言葉の罠にどうか陥らないでください! |
ジブリール | はっはっは!これは良い。すぐにオーブの彼女と連絡を取れ! |
ラクス | 無論わたくしはジブリール氏を庇う者ではありません。 |
ジブリール | え!? |
ラクス | ですがデュランダル議長を信じる者でもありません。我々はもっとよく知らねばなりません。デュランダル議長の真の目的を。 |
デュランダル | ええい! |
OP(Wings of Words) |
一般市民A | どういうことなんだよこれは! |
一般市民B | 何でラクス・クラインが二人? |
一般市民C | 偽者だ! |
一般市民D | いやしかし… |
デュランダル | そうだ!シャトルをもう一機。すぐにだ! |
ミーア | ご、ごめんなさい。私、あの…ぁ! |
デュランダル | いやぁ、とんだアクシデントだったよ。君も驚いただろうが私も驚いた。済まなかったね。 |
ミーア | ぁ… |
デュランダル | 一体何故こんなことになったのか。だがこれではさすがに少し予定を変更せざるを得ないな。 |
ミーア | はぁ? |
ガルナハンの住民A | あっちが本物だよ! |
ガルナハンの住民B | いや、でもデュランダル議長は… |
コニール・アルメタ | みんな何言ってるんだよ!ザフトは悪い奴等じゃないぞ!悪いのはロゴスと連合なんだ!オーブなんかそっちの味方じゃないか! |
ガルナハンの住民C | ああそうだ。誰が俺達を苦しめたのか!そして誰が解放してくれたのか!みんなもう忘れたのか! |
ガルナハンの住民D | そうだそうだ!オーブは連合だぞ!そこにいる奴の言葉など信じられるか! |
デュランダル | なに心配はいらないさ。だが少しの間、君は姿を隠していた方がいい。 |
ミーア | ぇ?あの…でも… |
デュランダル | 決して悪いようにはしないよ。君の働きには感謝している。 |
ミーア | ぁ… |
デュランダル | 君のおかげで世界は本当に救われたんだ。私も人々も、それは決して忘れやしないさ。だからほんの少しの間だよ。 |
サラ | さ、ラクス様。 |
ミーア | ぁ…ええ…。 |
デュランダル | こちらは予定通りメサイヤへ上がる。月の連合軍に動きは? |
ザフト将校 | いえ、今のところは未だなにも。 |
デュランダル | そうか。 |
デュランダル | いやしかし、いろいろなことがあるものだ。 |
ザフト将校 | ええ。 |
デュランダル | だがもう遅い。既にここまで来てしまったのだからね。 |
ミネルバクルーA | 冗談じゃないよ。 |
ミネルバクルーB | ほんとどういうことなんだ? |
ミネルバクルーC | いや偽者たって… |
アーサー | あの艦長! |
タリア | 聞かないでよ!私にだって何が何だか分からないわ。 |
アーサー&アビー・ウィンザー | ぁ… |
タリア | ま、一つはっきりしてるのは我々の上官はラクス・クラインじゃないってことよ。 |
アーサー | あ… |
タリア | 彼女から命令が来るわけじゃないわ。それを… |
アビー | 艦隊司令部からです。 |
タリア | え? |
アビー | ミネルバはカーペンタリアへ帰投後、月艦隊と合流すべく発進せよ。 |
タリア&アーサー | え!? |
アーサー | こ、今度はいきなり宇宙(そら)へですか? |
タリア | (はぁ…) |
シン | レイ!レイ待てよ! |
レイ | なんだ? |
シン | え…あいや…あの…あのオーブのラクス・クラインのことレイはどう思う? |
レイ | どう?とは? |
シン | いやだから… |
ルナマリア・ホーク | どっちが本物って話。 |
レイ | なんだお前まで。馬鹿馬鹿しい。 |
シン | ぇ… |
レイ | そうやって我々を混乱させるのが目的だろ。敵の。 |
シン | ぁ… |
レイ | おそらく皆、そうして真偽を気にする。お前のように。なかなか穿った心理戦だな。 |
ルナマリア | … |
レイ | だが何故かな。何故人はそれを気にする。本物なら全て正しくて、偽者は悪だと思うからか。 |
シン&ルナマリア | ? |
レイ | 俺はそれはどうでもいい。 |
シン | レイ… |
レイ | 議長は正しい。俺はそれでいい。 |
ルナマリア | シン。 |
シン | ん?うん。 うぅぅ…< |
ルナマリア | シン… |
レイ | そんなことより俺達には考えておかねばならないことが他にあるだろう。 |
ルナマリア | え? |
レイ | フリーダム。そしてアスラン・ザラ。 |
シン&ルナマリア | ぁ! |
ルナマリア | あ、アスラン? |
レイ | ああ。 |
ルナマリア | アスランって、どういうこと? |
レイ | 生きてアークエンジェルにいる。 |
ルナマリア | え!? |
レイ | この機体に乗っていたのは奴だ。 |
ルナマリア | じゃメイリンも… |
シン | ぅ… |
ルナマリア | メイリンも生きてるの? |
シン | さあ、それは分からない。だが生きているとすればあの艦(ふね)に乗っている可能性もあるだろう。 |
ルナマリア | えぇ! |
連合オペレータA | グノー、予定ポイントまであと20分です。 |
連合オペレータB | レクイエム、ジェネレーター稼働率85%。23番から55番臨界。 |
連合オペレータC | パワーフロー良好。超鏡面リフレクター臨界偏差三一二九。 |
連合オペレータD | 予備冷却系GRを起動。 |
連合オペレータE | バイパス接続。 |
司令官 | しかし、本当に撃つのですかな貴方はこれを。 |
ジブリール | 当たり前だ。そのためにわざわざこちらへ上がったんだからな。 |
司令官 | それは頼もしいお言葉だ。嬉しく思いますよ。ならば我々も懸命に働いた甲斐もあるというもの。こんなところでもね。 |
ジブリール | ん? |
司令官 | 最近は必要だと巨費を投じて作っておきながら肝心なときに撃てないという優しい政治家が多いものでね。それでは我々軍人は一体何なのかと、つい思ってしまうのですよ。 |
ジブリール | ふん!私は大統領のような臆病者でも、デュランダルのような夢想家でもない。撃つべき時には撃つさ。守るために。 |
司令官 | なるほど。 |
イザーク・ジュール | チィ!報告通りけっこうな数だぞ。 |
ディアッカ | ああ。けど一体何故こんなところに。 |
イザーク | さあな。有効施設じゃないことだけは確かだろうな。行くぞ! |
ディアッカ | おう! |
デュランダル | 12宙域に妙な動き? |
バーネル・ジェセック | はい。防衛警戒エリア外だったので対応が遅れたようですがオニール型コロニーが少しずつ動いていると。 |
デュランダル | プラントへ向かってか? |
ジェセック< | 距離はまだかなりありますが。警戒に出たジュール隊やジャニス隊がその護衛艦隊と現在戦闘中とのことです。 |
デュランダル | 分かった。以降もこの報告を最優先に。 |
ジェセック< | はい。 |
デュランダル | ふ。 |
アイキャッチ(ラクス&キラ、月夜) |
連合オペレータ | グノー、所定位置へ。 |
イザーク | 制動をかける?こんなところで? |
連合オペレータA | フォーレ、チェルニー、姿勢安定。フィールド展開中。 |
連合オペレータB | レクイエム、ジェネレーター作動中。臨界まで480秒。 |
ディアッカ | 何だ?何をやろうとしている! |
イザーク | 分からんが兎に角止めるんだ!エンジンへ回り込め! |
ディアッカ | ああ! |
デュランダル | ジェセックは来ているか? |
ザフト将校 | はい。 |
デュランダル | 先の動くコロニーの続報は? |
ジェセック | 未だ何も。目的が不明ですのでジュール隊には停止を第一に考えよと命じてありますが。 |
デュランダル | うん、そうだな。 |
連合オペレータ | 護衛艦隊は射線上から退避せよ。 |
司令官 | 照準はどこに? |
ジブリール | アプリリウスだ。決まっているだろう。これは警告ではない。 |
司令官 | 照準、プラント首都アプリリウス。 |
連合オペレータ | 目標点入力、アプリリウス。最終セーフティー解除、全ジェネレーター臨界へ。ファーストムーブメント準備よろし。レクイエムシステム発射準備完了。シアー開放。カウントダウン開始。発射までGマイナス35。 |
司令官 | トリガーを回せ。 |
ジブリール | さあ奏でてやろうデュランダル。お前達のレクイエムを! |
ザフトオペレータ | 月の裏側に高エネルギー体発生!こ、これは! |
イザーク | あ! |
ディアッカ | イザーク! |
イザーク | 全軍回避っ! 何だこれは!? |
ディアッカ | ビームが曲がった!? |
イザーク | あ! |
ディアッカ | あ! |
プラント市民達 | キャー! |
プラント市民達 | うわぁ! |
デュランダル | ん? |
ザフト将校A | これは一体何が… |
ザフト将校B | こ、こんな馬鹿な… |
デュランダル | どういう事だ!どこからの攻撃だ!一体何が起きたというのだ! |
連合オペレータA | ヤヌアリウス1から4直撃、ディセンベル7、8、ヤヌアリウス4の衝突により崩壊。 |
ジブリール | ヤヌアリウスだと!? |
司令官 | どういうことか! |
連合オペレータB | は。グノーの射角が計算外にずれたようです。戦闘の影響かと思われますが、。/td> |
ジブリール | チィ!アプリリウスを撃ち損じるとは。 |
イザーク | な、何だ?一体… |
ディアッカ | ヤヌアリウスが…ディセンベルもか… |
イザーク | くぅぅくっそー! |
ディアッカ | 月の裏側からまさかこんな方法で… |
イザーク | ディアッカ!こいつを落とす!2射目があったら今度こそプラントはお終いだ!何が何でも落とすぞ!! |
ジュール隊 | おー! |
アーサー | 艦長! |
マリュー・ラミアス | え?プラントが!? |
メイリン・ホーク&アスラン&キラ&ラクス | あぁ… |
アークエンジェルブリッジ一同 | あぁ… |
オーブ高官達 | あぁ… |
タリア | 何てことなの! |
シン | ぁ… |
ミネルバクルーA | ヤヌアリウスが… |
ミネルバクルーB | そんな馬鹿な… |
ミネルバクルーC | お母さん!いやぁぁ!! |
シン | 何で…何でこんな… |
レイ | ジブリールだな。 |
連合艦ブリッジ一同 | うわ!うわぁぁ! |
レイ | 月の裏側から撃たれた。こっちがいつも通り表のアルザッヘルを警戒している隙に。ダイダロスにこんなものがあったとは…。 |
ルナマリア | 何で!裏側からってそんなの無理じゃない!どうやって? |
レイ | 奴等は廃棄コロニーに超大型のゲシュマイディヒパンツァーを搭載してビームを数回に屈曲させたんだ。 |
シン | そんな… |
レイ | このシステムならどこに砲があろうと屈曲点の数と位置次第でどこでも自在に狙える。悪魔の技だな。 |
シン | くっ!そんなそんなことを… |
レイ | ジブリールを逃がした、俺達の責任だ。 |
シン&ルナマリア | ぁ… |
シン | ジブリールを逃がしたって、それは! |
レイ | 何であれ、俺達は討てなければならなかったんだ。 |
シン | くっ… |
ルナマリア | ぅ… |
アーサー | 全艦発進準備完了です。 |
タリア | みんな連戦で疲れてると思うけど、正念場よ。ここで頑張らなければ帰る家がなくなるわ。いいわね。 |
ミネルバブリッジ一同 | はい! |
タリア | 機関最大。ミネルバ発進します! |
アスラン | 同じだジェネシスの時と。もうどうにもならない… |
キラ | うん、プラントはもちろんだろうけど。こんなのもうきっとみんなが嫌だ。 |
ラクス | でも撃たれて撃ち返し、また撃ち返されるという戦いの連鎖を、今のわたくし達には終わらせる術がありません。誰もが幸福に暮らしたい、なりたい、そのためには戦うしかないのなら、わたくし達は戦ってしまうのです。議長はおそらくそんな世界にまったく新しい答えを示すつもりなのでしょう。議長の言う戦いのない世界。人々がもう決して争うことのない世界とは。生まれながらにその人の全てを遺伝子によって決めてしまう世界です。 |
アークエンジェルブリッジ一同 | ぇ… |
ラクス | おそらくは。 |
マリュー | 遺伝子で? |
キラ | それがデスティニープランだよ。 |
アスラン | 生まれついての遺伝子によって人の役割を決め、そぐわない者は淘汰、調整、管理する世界だ。 |
メイリン | 淘汰?調整? |
アスラン | そんな世界なら、確かに誰もが本当は知らない自分自身や未来の不安から解放されて、悩み苦しむことなく生きられるのかもしれない。 |
キラ | 自分に決められた定めの分だけね。 |
カガリ | ぇ… |
キラ | 望む力を全て得ようと、人の根幹、遺伝子にまで手を伸ばしてきた僕達コーディネイターの世界の究極だ。 |
ラクス | そこにおそらく戦いはありません。戦っても無駄だと貴方の定めが無駄だというと皆が知って生きるのですから。 |
ネオ・ロアノーク | そんな世界で奴は何だ、王か。 |
マリュー | 運命が王なのよ。遺伝子が。彼は神官かしらね。 |
アスラン | 無駄か… |
カガリ | ん? |
キラ | ほんとに無駄なのかな? |
ネオ | ふ、無駄なことはしないのか? |
アスラン | ぅ…俺はそんなに諦めがよくない。 |
キラ | だよね。 |
ラクス | ぁ… |
カガリ | 私もだ! |
ネオ | 俺も、かな? |
マリュー | そうね、私も。 |
メイリン | うん! |
キラ | 宇宙(そら)へ上がろう!アスラン!僕達も。 |
アスラン | キラ? |
キラ | 議長を止めなきゃ。未来を作るのは運命じゃない。 |
アスラン | ああ! |
ED(君は僕に似ている) |
-+-次回予告-+- 打ち砕かれた日常。守り得なかった者達。 それはもう二度とあってはならないこと。 弱ければ叶わない。後悔が怒りへと変わる時、再び目覚めるものは。 次回、機動戦士ガンダムSEED DESTINY、「変革の序曲」 全てを賭けて、発進せよ、アークエンジェル! |