機動戦士ガンダムSEED

第33話「闇の胎動」

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クルーゼそれほどに強敵だったと言うことだ。君の友人は。
アスランぁぁ…
クルーゼそれを討った君の強さは、本国でも高く評価されているよ。君には、ネビラ勲章が授与されるそうだ。
アスランぇぇ?

ラクスでもそれは仕方のないことではありませんか?
戦争であれば。
キラぁぁ…
ラクスお二人とも敵と戦われたのでしょう?違いますか?

フレイけど!私、ほんとは!
サイフレイ!
フレイ貴方!解ってたじゃない!私…ほんとはキラのことなんか…!
サイいい加減にしろよ!

ミリアリアハァ…ハァ…うわあ゛あ゛ぁぁ!!
フレイ違うって、違うのよ!
サイミリアリア!!
フレイあっ!
ミリアリア離して!
サイ落ち着くんだミリィ!
ミリアリアトールが、トールが居ないのに!なんで…こんな奴!こんな奴がここに居るのよ!!
ディアッカ
サイフレイ…
ディアッカ
フレイコーディネイターなんて…みんな死んじゃえばいいのよぉぉ!!
ミリアリアええ!?
フレイくっ…
ミリアリアあぁ…くっ!
ディアッカぅ…くっ…

OP(Believe)

ミリアリアう…ううう……
フレイハァ…ハァ…
サイハァ…ぁ!
フレイ何するのよ…
ミリアリアぅ…
フレイ何で邪魔するの?自分だって殺そうとしてたじゃない!
ミリアリアぅぅ…
フレイあんただって憎いんでしょ!?こいつが!
ミリアリアぅ…くぅ…
フレイトールを殺した!コーディネイターが!
ミリアリアぅ…
フレイ何よ!あんただって同じじゃない!あんただって…私と同じじゃない!
サイフレイ!
ミリアリア…違う…
ディアッカぅ…
ミリアリア違う…私…
フレイぅぅ…
ミリアリア違う!!
ディアッカ
パルおいなんだ!この騒ぎは!

ナタル彼をいつまでも医務室に置いておいたのが間違いでした。
マリュー
ナタルましてやそこを、一時でも無人にするとは…
マリューええ…
ナタル銃の管理にも問題があります。この件も、報告せざるを得ないでしょう。
マリュー…そうね。それも付けといて。
ナタル艦長!私は何も、個人的感情で貴方を非難しているつもりはありません。私が申し上げたいのは、我々にとって規律は重要なものであり、野戦任官だろうが緊急事態だろうが、それは変わらないということだけです。
マリュー解ってるわ。と言いたいところだけど…
ナタル軍には厳しく統制され、上官の命令を速やかに実行できる兵と、それに、広い視野で情勢を見据え、的確な判断を下すことの出来る指揮官が必要です。でなければ、隊や艦は勝つことも、生き残ることも出来ません。
マリュー解っていても、出来なきゃ一緒よね。
ナタル
マリュー自分が器じゃないことは、よく解ってるつもりよ。
ナタル艦長!私は…!
マリュー大丈夫よ。解ってるわ。ナタル。いろいろあったけど、貴方にはほんと、感謝してる。貴方なら、きっといい艦長になるわね。
ナタル…ハァ…。だから甘いというのだ、貴方は…。

ディアッカいてっ…うっ……
ディアッカ(回想)なぁ、それともバカで役立たずなナチュラルの彼氏でも死んだかぁあ?
ミリアリア(回想)トールが!トールが居ないのに!なんで…こんな奴!こんな奴がここに居るのよ!!
ディアッカチィ…ビンゴだったとはな…

サザーランド軍令部のウィリアム・サザーランド大佐だ。諸君等第8艦隊アークエンジェルの審議、指揮、一切を任されている。座れ。既に、ログデータはナブコムから回収し、解析中であるが、なかなか見事な戦歴だな。マリュー・ラミアス艦長。
マリュー
サザーランドでは是より、君達からこれまでの詳細な報告、及び証言を得ていきたいと思う。尚、この査問会は軍法会議に準ずるものであり、ここでの発言は全て、公式なものとして記録されることを申し渡しておく。各人、虚偽のない発言を。よいかな?
マリューはい。
サザーランドではまず、ファイル1。
ヘリオポリスへのザフト軍奇襲作戦時の状況。マリュー・ラミアス当時大尉の報告から聞こう。

ハロハロ!ハロ!ナンデヤネン!
ラクスあら?あらあら?
ハロアラアラァ。

トール(回想)キラー。
近いったってうちは中立だぜ?オーブが戦場になることなんて、まずないって。
なんなんだよ、それは!コーディネイターでもキラは敵じゃねぇよ!さっきの見てなかったのか?どういう頭してんだよお前らは!
志願したんですよ。俺だって頑張んなきゃ。
キラ(回想)トール!駄目だ!来るな!
トール(回想)はぁっ!
キラトール…。
ラクス何を見てらっしゃいますの?
ハロテヤンデイ!
ラクスキラの夢は、いつも悲しそうですわね。
ハロ達ハロハロハロハロ…
キラ悲しいよ…。
沢山…人が死んで…。
僕も…沢山…殺した…。
うぅぅ…
ラクス貴方は戦ったのですわ。
キラぅ…
ラクスそれで守れたものも、沢山あるのでしょう。
キラ
ラクスうふ。でも…
キラん?
ラクス今はお食事にしましょう!もう一度温めてきますわね。
キラぇあぁ…
ハロマイド!マイド!
ラクスそれに、貴方はまだお休みになっていなくては。
ハロミトメタクナイ!ミトメタクナーイ!
ラクス大丈夫です。ここはまだ…平和です。

アイキャッチ

アラスカの街の人々[ガヤガヤ]

サザーランドでは君はその時点で、既にこの少年キラ・ヤマトが、コーディネイターなのではないか、という疑念は抱いていた、と言うことだな。
マリューはい。
キラ(回想)無茶苦茶だ!こんなOSでこれだけの機体を動かそうなんて!
キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定…、
チッ!なら疑似皮質の分子イオンポンプに制御モジュール直結!
ニュートラルリンケージ・ネットワーク、再構築!メタ運動野パラメータ更新!フィードフォワード制御再起動、伝達関数!コリオリ偏差修正!運動ルーチン接続!システム、オンライン!ブートストラップ起動!
マリューいくら、工業カレッジの学生であるとはいえ、初めて見る機体の、それも我が軍の重要機密であったXナンバーのOSを、瞬時に判断し、書き換えを行うなど、普通の子供に出来ることではありません。
彼はコーディネイターなのではないかと言う疑念は、すぐに抱きました。
サザーランドうん。その力を目の当たりにして、君はどう感じたのかね?
マリューただ、驚異的なものと。
サザーランドふん。そしてジン自爆の際、気を失った君は、彼と、彼の友人等に介抱され、その後彼らを拘束した。
マリューはい。
サザーランドこれは的確な判断だったと言えような。君は負傷していたと言うことだし、一刻も早く体勢を整え、状況を把握する必要もあった。だが本体と連絡の付かぬうち、フラガ少佐の追撃を躱したザフトのモビルスーツが、再びコロニー内へ侵攻。不運だったとしか言いようがないが、だがその際ストライクは何も知らぬ民間人に、しかもコーディネイターの子供に預けられたままであり、君はそれ十分にコントロールしえなかった。そうだな?
フラガいえ!しかしあの場合…!
サザーランド今は事実確認を行っているのだ、フラガ少佐。私的見解は無用に願いたい。
フラガくっ…。
サザーランド結果、キラ・ヤマトは、その威力も知らぬまま、320mm超高インパルス砲アグニを発射し、敵モビルスーツを退却させることには成功したものの、ヘリオポリス構造体に甚大な被害を及ぼした。また、この一撃は、ザフト軍奇襲部隊に非常な危機感を与え、彼らの、再度のコロニー内侵攻を促したとも言えよう。
フラガそれは結果からの推測論に過ぎません!
サザーランド認めよう。だが君も指揮官として戦場へ出る者なら解るだろう。君がもし、奇襲作戦の指揮官であったとして、そのような敵新型兵器の威力をまざまざと見せつけられ、それで見過ごすものかね?
フラガいえ…
マリュー反撃は誤りだった、と仰るのですか?
サザーランドそうは言わんよ。ただ、コーディネイターの子供など、居合わせたのが不運、と言うところかな。
AAクルー一同くっ!
マリューそんな!彼が居なければ我々は…!
サザーランドだが居なければ。ヘリオポリスは崩壊しなかったかもしれん。
マリューうっ…
フラガくっ…
ナタルうぅ…
サザーランド過ぎた時間にもしもはないがね。…だがもし、彼がOSの書き換えなど出来ぬ、ただのナチュラルの子供だったら。
マシューくっ…
サザーランドその時、ストライクになど乗っていなかったならば、結果は自ずと違っていたはずだ。だが彼はそこに居た。そして彼をストライクに乗せてしまったのは君だろ?ラミアス少佐。
マリュー全ては…私の判断ミス、と?
サザーランド我々はコーディネイターと戦っているのだよ?ラミアス少佐。その驚異的な力と、民間人の子供であろうが、コーディネイターはコーディネイターなのだ。それを目の当たりにしながら、何故それに気付かない?奴等が居るから世界は混乱するのだよ!
アークエンジェルはその後、ユーラシアの軍事拠点、アルテミスを壊滅させ、先遣隊を全滅させ、果ては第8艦隊をも失わせている。
フラガ曲解です!我々は…!
サザーランド我々は?なんだね?
マリュー我々は、ただハルバートン提督の…!
サザーランド彼の意志が地球軍の総意なのかね?一体いつそんなことになったのだ。
マリューうぅ…
サザーランド落ち着きたまえマリュー・ラミアス。私は全て諸君等に非があると言っているわけではない。過酷な状況の中、実によく頑張ったものだと思う。だがそれだけの犠牲を払い、入港したアークエンジェルは、肝心のそのストライクすら失っているという有様だ。それで犠牲になった者達は浮かばれるのかね?全てを明確にし、この一連の戦いの成果と責任をはっきりさせねばならんのだよ。誰もが納得する形でね。では、続けようか。

サイこれ、フレイに持ってってやってくれる?
カズイええ!?俺が?
サイじゃいいよ。
カズイぅ…あぁいいよ、俺持つよ。
サイいいよ。
カズイ部屋までは持って行くからさ、渡すのはサイの方がいいでしょ。
サイハァ…。
カズイぅ…

カズイでも、ミリィがそんなことするとはな。
サイあのザフトの奴が悪いんだよ。なんか言ったらしい。
カズイあ、あいつの名前、ディアッカって言うんだって。ディアッカ・エルスマン。で、なんか言ったって、何?
サイ知らないよ。
カズイしっかしどうなっちゃってんだろうね、この船。もう着いたんだから終わりだろ?俺達、除隊出来るんだろ!?
サイハァ…それも知らないよ!そんなことは艦長に聞いてよ。
ぁ!ミリアリア?食事を…

ミリアリアハァ…ハァ…ハァ…
ディアッカ(回想)ぁ!
ミリアリア(回想)え゛え゛い!!
ディアッカ(回想)うっ…何すんだよ!こいつ!
ミリアリア(回想)ハァ…ハァ…うわあ゛あ゛ぁぁ!!
ミリアリアハァ…ハァ…ハァ…
ディアッカん…う…
ミリアリアあ…
ディアッカ待てよ!
ミリアリアぁ…
ディアッカぁ…と…その…お前の彼氏…どこで…その…
ミリアリアスカイグラスパーに乗ってたの…島で…あんた達が攻撃してきた時…
ディアッカスカイグラスパー?
ミリアリア…戦闘機…青と白の…
ディアッカ…俺じゃない…
ミリアリアぇ?
ディアッカぅ…
ミリアリアぁ…
ディアッカどうしたんだよ。殺しに来たんならやればいいだろ。
ミリアリア……

サザーランドでは是にて、当査問会は終了する。長時間の質疑応答、御苦労だったな。アークエンジェルの次の任務は追って通達する。ムウ・ラ・フラガ少佐、ナタル・バジルール中尉、フレイ・アルスター以外の乗員は、これまで通り、艦にて待機を命ずる。
フラガでは、我々は…?
サザーランドこの3名には、転属命令が出ている。明0800。人事局へ出頭するように。以上だ。
ナタルあの…アルスター二等兵も転属と言うのは?
サザーランド彼女の志願の時の言葉、聞いたのは君だろ?
ナタルぁ…はい。
サザーランドアルスター家の娘でもある彼女の言葉は、多くの人々の胸を打つだろう。その、志願動機と共にな。
マリューぅ…
サザーランド彼女の活躍の場は、前線でなくて良いのだよ。

ラクスずっとこのまま、こうしていられたら良いですわね。

ED(RIVER)

-+-次回予告-+-
過ぎ去った激動の時間、切望したはずの穏やかな地に在って尚、
悲しみが胸を塞ぐのは、未だ終わらぬ砲火の空を知るからか。
世界に再び迫らんとする闇を知る時、キラの瞳が映すものは。
次回、機動戦士ガンダムSEED、「まなざしの先」
新たな大地に、蘇れ!ガンダム!

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